「苦手の克服は時間のムダ」だという社長の話


かつて僕が以前働いていた店では、
アシスタント、若手スタイリスト達に
課せられていたのがモデルハントだった。
おそらくどの店でも行われていることだろう。
しかしその一方で
「見ず知らずの人に声をかけることが苦手」
という同期、後輩は多くいた。
先日ある会社の社長さんと話をさせて頂いた時、
少しユニークな考えをされていたので
そのやりとりを書いていく。

どうも、
名古屋の美容師、そして人間の研究家
亀田トオルです(`_´)ゞ

休みの日にひたすら街中で声をかける。
それが美容師でいう営業活動だ。
今でも月曜の名古屋を歩くと
いかにも美容師といった風貌の若い子達が
街中で周りをキョロキョロと見渡している。
これだけSNSが普及した今でも
モデルハントは相変わらず行なわれている様だ。

先日話した社長さんの会社では、
営業のベースは「テレアポ」だそうだ。
うちの店にも1日に数件のテレアポがくる。
しかし大抵の場合接客中の電話が多く、
「チッ、またか」とイラっとしながら即断る。
モデルハント同様テレアポも
相当メンタルをやられそうな仕事だ。

僕は比較的モデルハントが得意だった。
元々人との心理戦が好きだった為、
一種のゲームとして楽しみながらできたからだ。
しかし一方で
モデルハントを苦手とする人たちは多くいた。
当然、彼らは上司からキツイ詰問を受け、
仕事が憂鬱そうだった。
そして、もう半年くらい経つと、
次々に会社を辞めていった。
とは言え、元々それが当たり前で育ってきた為、
「美容師って、こんなもんだよな」
そう僕は思っていた。
 
しかし、
先日全く違ったマネジメントを行う社長さんから
お話を伺ったのだ。
その会社は、業績もさることながら
離職率が“圧倒的に少ない”ということで
元々耳にしていた会社だった。
そして僕はどうしてもその理由が知りたくて、
実際に聞いてみた。

すると意外な答えが返ってきたのだ。
その社長さんの会社では
『苦手なことはやらせない』
という。

正直腑に落ちなかった。
「苦手だからといって、やらなくていいことになると皆やらなくなりませんか?」
『そうですね、最初は私もそう思ったのですが、やってみると意外にそうならないんですよ』
「何故ですか?」
『テレアポが得意な人はいるんですよ。すんなりアポを取ってしまう人ですね。彼等は別に苦手だと思ってないので自発的にやるんですよ。その人にとってはそれが1番成果を出しやすい方法なんでしょうね』
「なるほど」
「ではテレアポが苦手な人はどうするんですか?」
『別の仕事をしてもらいます。顧客リストからDMをだしてもらったりWeb広告をつくってもらったりしてもらいますね』
「テレアポはしないんですか?」
『しませんね』
「それだとしてる人から不満が出ませんか?』
『出ませんね。テレアポをやるにしろ他のことをやるにしろ成果は見ますから。要するに本人にとって一番楽に成果が出せる仕事をやってもらってれば、どの仕事をしていても、そんなに不満は出ませんよ』
「ほお、、」
『亀田さん、仕事をする上で苦手なことをこっちが無理やり克服させようとしても、時間のムダなんです。苦手なことからは逃げ出したくなるのが人間なんですから』
『仕事なんて、1ヶ月もやらせれば、その人の得意不得意はわかりますよね?最初は、私たちも甘いんじゃないかと思いました。しかし会社は根性を鍛える場所でもないんですよね実は。』
『色々やってみてもダメで結局私が行き着いた1番合理的な選択が“成果が出せること、得意なことをやってもらう”でした。うちはそれで上手くいってますね』

会社は根性を鍛える場所ではない。

得意なことをやってもらう。

何とも印象的な言葉だった。
よくある会社の価値観とは異なるが、
これも一つの成功事例なのだろう。

苦手なことを克服させようとこちらが
躍起になるのも考え直す必要がありそうだ。
では。

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